ねこねこソフト、最後の作品。
「Scarlett」
駆け抜けた7年間は、決して媚びず、省みず。
最後の最後まで”らしさ”を貫き通した。
そして、その”らしさ”の一端。
おまけモード。
スタッフ自らによるアナザーストーリー。
最後の別れを惜しむように。
自分たちの足跡を確認するように。
そのボリュームは過去に類を見ないものとなった。
その中のコンテンツ。
緊急回避。
そこに、一つの物語があった。
怪奇 佐々井亭の夜
そこに、彼女がいた。
彼女が再び、出演した。
銀色でみせた、悲恋の物語。
麻雀でみせた、別世界の姿。
これが見納めと、クリックする指に熱がこもる。
だが。
なんだろう、この空虚感は。
自分が求めたのは、こんな姿だったのか?
銀糸に運命を振り回されるの姿は、もう過去のことじゃないのか?
知らず知らずのうちに、歯を噛み締め。
握った手は、小さく震えていたように思う。
ネタじゃないか。
確かにそうだと思う。
でも、これには何かが欠けているように感じられるんだ。
展開のそこかしこに、投げやりな、悪意とすら呼べるような。
そんな空気が。
怖い。狂っている。偏愛。包丁。血。
そういう位置づけ。
そうかもしれない。
いや、実際そうなんだろう。
僕がただ、色眼鏡で彼女を見ているんだ。
話の結末を受け入れられない、子供な僕が。
サイトは立ち上げた。
でも、魅力的な絵が描けるわけじゃない。
惹きつける文章を書けるわけじゃない。
――それでも
ゲームを作るだけの資本があるわけじゃない。
それでも。
日記の文章でもネタにしている節がある。
それでもっ!
この気持ちに、嘘偽りはなかった
幸せをつかんでほしい
もう一つの物語が存在してほしい
もう一度、心から笑ってほしい
僕はただ、そう願っていただけなんだ――
僕には、受け入れられない。
ただの、わがまま。
思ったとおりにならなければ、ダダをこねる子供のような。
自分の考えを押し付ける、利己的な人間のような。
そんな行為だとは、わかってる。
それでも。
――愛、深き故に