魂響〜たまゆら〜
ブランド/あかべぇそふとつぅ
ジャンル/霊脳バトルAVG
2005年5月発売
夜の闇にまぎれて徘徊する怨霊・妖怪たち。
それを駆除することを目的とする霊能力者”魂狩人”。
混在する日常と非日常。
しかし、魂狩人たる秋月冬馬たちにとってはそんな非日常すら、日常となりはじめていた。
しかし、その”非日常性”は返ってくる。妹の死という現実によって――
ノーマルなアドベンチャーゲームの仕様です。
メッセージウィンドウと5つのボタン(セーブ、ロード、スキップ、オートモード、システム)。バックログやオートモードの速度などの機能もついていて、プレイには支障が無いと思います。エスケープ機能というものもついていて、危機回避にもオッケーです。
セーブ箇所は20個。
各セーブにサムネイルが付き、コメントも付けられるのでルート分岐をチェックする人も便利になってます。んー、でも今回は選択肢にあまり意味が無い気がするので……。20個は妥当な数かと思います。
絵師は有葉さん。
一枚絵・立ち絵ともに完成度は高いと思います。一枚絵になっても違和感はありませんし、全体のバランスも上手く取れていると思います。カットインで表示されるデフォルメ絵もいい感じの演出になっていました。
すごく細かい点まで指摘すれば、かすみさんの髪の長さが結構変わってたりするんですが……気にするところでもないと思います。全体的にレベルの高い仕上がりでした。
そして特筆すべきはムービーです。OP以外にもう一箇所ムービーがあるのですが、どちらもすばらしい出来でした。特にOPではない方ですが、クライマックスで映画のような構成になっていましてムービー単品でもいけるくらいでした。
背景もすごく綺麗でした。
背景は草薙さんが有名どころですが、自分が思うにそのあたりと遜色ない仕上がりだと思いました。うるさすぎず、手を抜きすぎず。背景の役割を十二分に発揮していたと思います。
全部で40曲、ボーカル曲が2曲です。
ボーカル曲はどちらも良いと思います。特にOP曲「魂響」は片霧烈火さんのパワーあるボーカルに乗って、これからの展開を思わせる、速いテンポのいい曲だと思います。EDは仕様なのかもしれませんが、ボーカル無し……。でも藍EDでは流れたんですよね……もしかすると、コンプリートで流れる仕様かも。
それは置いておいて、こちら、「心ノ在リ処」も和風な感じで好きです。また、それ以外のBGMも十分合格点でした。バトルシーンで流れる曲など、その場面場面を盛りたてるのに相応しい音を提供してくれました。「double-edged sword」、「水中に求めし…」、「VanityFugue」なんかが耳に残っています。
音声は可もなく不可もなくといったところでしょうか。
真散さんの声優さんがちょっと微妙でしたね……。なんというか、台詞を場面で捕らえてないというか、台詞単体でしゃべっている感じがして、同じ場面内でテンション差があったところ、シナリオ読んでないんじゃないかな、というしゃべりのところがあったので。
書き手は鳴海さん、HOT☆ぢるさん。
鳴海さんがメインシナリオでHOT☆ぢるさんがおまけシナリオでした。
おまけシナリオは音声無いです。
さて……これからはちょっと毒しか書かない気がするので、反転します……。
まず、結論から言うとダメポでした。いわゆる地雷というヤツでしょうか。
まず、シナリオがぶつ切りなんですよね。シーンごとにつながりが無いというか。日付表示もないですので、時間軸を追えませんし。そして、伝奇モノのはずなのに何故か日常の関係ない話ばかり。確かに”霊脳バトルADV”で伝奇モノとは明記していませんが、学園ラブコメではないのですから、世界観とかもっと深く突き詰めたところを展開して引き込んでほしかったです。日常の話が中心になっていましたので、当然伏線も張られず、読み手側はおいていかれる感じがしました。
そして主人公がいらないような気がしました。
存在感がないですし。どのEDに行っても結局がんばるのはヒロイン達自身で、主人公はほとんど関与しません。あ、時間稼ぎはしたかも。主人公っていうのはある程度感情移入できる存在じゃないといけないと思うのですが、この主人公は好き嫌い以前に移入する機会すら与えられていないというか……。どうせなら完全な三人称にしてもよかったんじゃないでしょうか。
また、ヒロインのEDでも少し気になることが。
かすみさんEDは別として、真咲さんのEDに行ったはずなのに結局真散さんと結ばれているって……。そして真散さんとEDが共通ですし。うーむ。自分が真咲さんEDのエピローグ見たとき、思わず「え?」って言っちゃいましたから(笑) そして藍EDはまったく意味無いです。何がしたいのかよくわからなかったです。
最後に、システムネタが多かったです。
フラグだの、ルビだの、こういうネタは嫌いです。しかも一度ではなく何回も出てきましたから……。
おまけシナリオは公式HP上でも書かれていましたが、どうやら新人さんの練習作のようです。内容も練習作程度でした。
総じて、シナリオは同人レベル以下と言われても仕方ないでしょう。
……うーん、毒だけでこれだけ書けるとは(汗
九重真咲さん
年上で腹黒いお方です。そんな貴女に萌えー。
2005.6.12 加筆
2005.6.8