てのひらを、たいように
ブランド/Clear
ジャンル/恋愛AVG
2003年1月発売
朝起きる。顔を洗う。パンをかじる。コーヒーを飲む。学校へ行く。
いつから日々を無気力に生きるようになったのだろう。空には相変わらず強い日差し、セミの声。
遅刻確定の通学路、ふと目をやった公園に一人の女の子がいた。妙に人懐っこい、同じくらいの年の子。自分と同じ学校の制服を着ている。学校まで一緒にいくと、同じクラスの転校生だった。
彼女を中心に、生活が変わっていく――
伝承と記憶と絆の物語。
基本的なシステム周りは、今までのClear作品と同じです。
バックログ、オートモードなど、ノベルゲームを楽しむ環境は整ってます。特徴的な機能といえば、立ち位置によってヘッドフォンの左右どちらから音声が出るかが別れることでしょうか。ただ、自分はこれがいいとはあんまり思わなかったので、普通に設定してプレイしました。
セーブ箇所は100個。
それほど選択肢の多いゲームでは無いので十分すぎるくらいかと思います。
絵師はおーじさん。
女の子みんなろりぃな感じになってます。でも自分はこの人、かなり高評価です。
絵に関して素人の自分からの意見なんですが、バランスの取り方がうまいな、と。立ち絵と一枚絵を比較しても差がほとんど無いような気がしました。不自然だな、と思われるところもありませんでしたし。ただ、枚数自体はそんなに多く無かったです。立ち絵パターンもそうですが、もう少し多くてもいいかな、という気はしました。
まぁ、Clearさんのゲームはどれも少なめなので、これは仕方ないかな、とも思います。この絵に抵抗があるという人以外なら、別にろりぃ好きでない方にも勧められると思います。そして塗りも雰囲気を大事にした良い出来でしょう。和やかさを出した淡い感じが好きです。
背景に関しても悪くなかったです。特筆する良いトコは無いですが、十分合格点です。
全部で29曲、ボーカル曲は2曲です。
これこそBGM! というようなものでした。田舎町の雰囲気をだし、文章に集中させてくれました。全体的に静かな音色で構成されていて、何度も聞くことになった(シナリオで後述)日常曲も飽きることは無かったです。
んで、ボーカル曲。OP、EDともに佐藤裕美さんです。自分はOPの「てのひらを、たいように」はかなり気に入ってます。フルでも2分30秒くらいの短い曲なんですが、良いです。
また、これが一番のポイントだと思うのですが、音声が素晴らしいです。
声優さん非公開で名前はわかんないですが、みなさん迫真の演技です。男性はパートボイスなのですが、こちらもこちらで上手でした。はらわた煮えくり返ることもありましたが(笑) 特に永久ちゃん(”さん”にはできない(笑))がはまり役でした。
書き手は冬雀さん、秋津環さん。
攻略制限があり、前半部分である「てのひらを、」編をクリアしたら後半部分「たいように」編にいきます。
んで、前半部分、最初は必ず永久ルートへいきます。
まず、このゲーム、長いです。前半部分は選択肢の少なさがより一層そう感じさせます。また、文章が冗長なのと、何度も何度も回想シーンを挿入するため飽きてきます。前半の導入部分、主人公が内向的でだんだん心を開いていく過程では、必要性はわかるのですがあれは見てて、「なんだこいつは」ってなります……。
キャラが立っている分、特に1周目(永久ルート)は長いながらもシナリオに引きこまれ、ラストを除けば良かったのですが、2、3周目はキャラが自分にとってそれほど合わなかったので、正直だるかったです。これがクリアしたらアンインストールする自分にとって、「てのひらを、たいように」が今までで一番長くパソコンに入ってた理由ですね。話自体はそんなに悪くないです。
んで、後半部分。
秋津環さんのシナリオは好きなんですが、ゲームとして前半の、とくに永久ルートがメインのような扱いになっているため、どうしても”おまけ”的な印象を受けてしまいます。話は前半をもうひとつの視点から見ていくのですが、それほど新しい発見もなかったです。話の持っていき方にも多少の強引さがありましたし。文章表現力はやっぱり良いと思います。特にえちぃシーンの描写は上手いです。
夏森永久ちゃん
天然ぽけぽけ、ぽやーんが良かったです。優しい子で、物語中でも笑顔が印象的でした。
2004.10.9