ラムネ
ブランド/ねこねこソフト
ジャンル/ビジュアルノベル
2004年8月発売

車窓からの景色は人の姿の無い、まるでテレビのような景色――
都会から田舎への引越しは、子供の好奇心を満たすには十分すぎるくらいのものだった。
耳をすませば波の音。湿った潮の香りを運ぶ風。
妹の呼びかけも聞かずに飛び出した浜辺で見つけたのはヤドカリと、女の子。

今年もまた、夏が始まる――

今までのねこねこさんのプログラム、NScripterからClearさんで使っていたプログラムになっています。オートモード、バックログ、既読スキップ機能など読み進んでいくのに不自由しない環境です。

セーブ箇所は100個。
おそらく全ての選択肢でセーブしても足ります(笑)

絵師はあんころもちさん、司ゆうきさん、u-rさん、秋乃武彦さん。ただ秋乃さんは今回おまけシナリオをちょこっとしか書いていないので、実質秋乃さん以外の3人ということになります。

ねこねこさんは秋乃さんをメインにしているので、秋乃さんの絵に似せて描いているような気がします。といっても下手ではなく、上手です。ただ、立ち絵に比べて若干一枚絵に違和感があるものが何枚かありました。

あと、本当にシナリオ読んで描いているのかなぁ、というところがありました。例えば最初の七海シナリオで鈴夏が起こしに来るシーン。ノースリーブだったのに上に乗った瞬間、袖が出現します。他にはひかりシナリオで(選択肢によりますが)水着が破れて新しいのを買ったのに同じ水着だったり。あんまり過敏になりすぎるのはよくないとは思うのですが…。

CGの塗り、背景は十分合格点です。
特に背景はきれいなのですが、前面に出ることなくキャラを引き立てています。

全部で30曲、ヴォーカル曲が3曲です。
夏をモチーフにしたBGMはこの曲っ! というように強烈なインパクトを残しませんが、雰囲気を作るいい仕事をしています。

ヴォーカル曲は3曲とも素晴らしいの一言。中でも「ラムネ」は反則です。涙腺が……。

あと、音声について。
主人公の名前を言わない仕様ですが、デフォルトでいいんじゃないかなー、と。逆に違和感が…。

書き手は片岡ともさん、秋津環さん、海富一さん、中森南文里さん。
「みずいろ」と同じく最初に子供時代パートがあり、選択肢によってメインヒロインが決定、そのヒロインのシナリオへ入っていく仕様になっています。シナリオ数は七海、ひかり、鈴夏、多恵の4つとクリア後におまけシナリオでえちぃのとえちぃくないのが何本か。長さはそれなりでやや短めといったところですかね。

全体的な印象として、薄いかな、と。
うたい文句も”夏を舞台にした普通の学園モノ”となっていますし、確かにギャルゲーとしては王道、一般的、よくある、と形容されるものでしょうね。ですが、「みずいろ」も同じように”普通の学園モノ”としていましたが、インパクトがありました。

この違いはなんなのか。自分なりに考えたんですが、舞台の広さかな、と。
「みずいろ」では舞台も普通の街。設定も普通。ということは、あたかも真っ白なキャンバスに絵を描き始めるようなものです。しかし今回の舞台は海辺の、田舎の街。つまりある程度の制限が生まれるわけですよ、使えるイベントやシーン、伏線に。先ほどの例で言えば、すでにキャンバスには背景が描いてあるわけです。

ラムネのスタートは期末試験最終日で、その後林間学校。例えば飯ごう炊爨のシーン。辛い物好きのひかり、料理上手の七海という構図。これでは4人目のヒロインともなるとまたかぁ、という感があると思います。4人のライターさんが別々に書いているというメリットを生かしきれていないのでは、という印象を受けました。

ヒロインごとのシナリオでの感想。
やっぱり全体的にボリューム不足が否めないかと。
内容的に七海は別として、他のひかり、多恵シナリオはもう少し過程を書き込んでほしいかなぁ、とか。鈴夏シナリオはそこのところ上手だったと思います。

あとひかりの使い方。鈴夏シナリオプレイ中にひかりはまだプレイしていなかったので、次はひかりだな、と思うくらいでした。てことで、自分的イチオシは鈴夏シナリオ。でも七海シナリオもいいんですよね。

んで、これはちょっと……と思ったのがひかりシナリオのえちぃシーン。
これならいりません。確かにクライマックス近いのでさっさと終わらせたいというライターさんの考えかもしれませんが、擬音とあえぎ声だけのあのシーンはどうかと思います。あれならないほうがいいんじゃないでしょうか。

んで、ここから少しネタバレ。
七海シナリオのバイク事故。アレはアレでいいんじゃないかな、と思います。ご都合主義かも、と片岡ともさんも言ってましたが、自分が思うにバイクにはああいうことが付きまとうと思うのですよ。

事故にあった時点で復活はある程度予想できるかもしれません。でも、七海のアレだけの描写があれば、涙してしまうわけで……。自分的にはスキです、七海シナリオ。


キャラはポンコツ、妹、にぎやか、先輩とバランスよく。でもイチオシは佐倉さん。

佐倉裕美さん
メインじゃないですけど。ねこさん恒例、クリア後のエピローグ的なお話を見ればわかります。本編では主に七海ルートしかでてきませんが、それでもいいんです!

追記。
コンシューマに移植され、無事(?)佐倉さんシナリオは補完されました。
……ねーちん補完シナリオはまだでしょうか orz

追記 2006.2.8
2004.8.24