planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
ブランド/Key
ジャンル/ビジュアルノベル
2004年12月発売(ダウンロード版)
2006年4月発売(パッケージ版)
宇宙開拓破綻に端を発した世界大戦から30年。
ほとんどの人間が死に絶え、地表では雨が降り続いていた。廃墟となった都市から貴重物資を回収するのを生業とする男、『屑屋』。最も危険といわれる『封印都市』に単身潜入した彼は、その中心部で戦前のプラネタリウム施設を見つける。
そこで彼を迎えたのは、コンパニオンロボット『ほしのゆめみ』だった。
彼女は屑屋のことを30年ぶりの客だと信じて疑わない様子。
早速星を見せようとするが、投影機は故障している。ゆめみとの噛み合わない会話の末、屑屋は成り行きから修理を請け負うことになってしまう……
基本的なビジュアルノベル仕様です。
速度調節可能なオートモード、音声再生つきバックログ、音量調節などなど。メッセージウィンドウも数種類用意されており、場面にあったビジュアルのものが使用されていました。
また、背景で雨が降っているときは静止画ではなく雨のエフェクトを入れていたり、ラストシーンの演出など、細かいところでいい仕事をされています。
セーブ箇所は5個。
ボリュームが3時間もあれば終わる程度なので十分な量かと。また、各章ごとにその章の最初から始める事ができるので、実際は使わないかもですね。自分は章の途中でセーブしても、再開する時はその章の頭から始めましたし。
絵師は駒都えーじさん。
枚数自体は少ない(CG観賞で見られる一枚絵は差分を除いて20枚)ですが、どれもクオリティが高いです。ヒロインであるゆめみさん関連の絵は非常にバランスが取れていました。また、目を見張るのはそのメカニックデザイン。SF色の強い本作品において、ライターさんの描写を精緻にトレースされていました。
立ち絵の枚数は豊富です。
1〜2回しか登場しないものまで手を抜かず、しっかり用意するのはKeyらしいですね。
絵師さんはある程度有名な方ですし、実力どおりといったところでしょうか。
あと、やっぱりぱんつはいてn(GUSARI☆
背景もさすがKeyという出来栄え。
作風に合致した儚さを伴った現代と、それに対照的な過去。見事の一言です。
て、ここまでべた褒めですね(´ヮ`;) それくらい突っ込みどころがなかったというのが正直なところですが。
全部で9曲、ボーカル曲が1曲です。
ボリュームから考えて適当な量でしょうか。全体的に優しい感じの曲でした。印象として、どれも何らかの空をイメージして作られているのではないかなぁ、と。この作品が”星空”をテーマの一つにしているのである意味当然かも知れませんが……。包み込む星空のような深遠な曲、昼下がりののんびりとした曲、夜明け前のどこか神秘的な曲……。耳にすると、自然と作品の場面が思い浮かんできます。
音声は、ヒロインであるゆめみさんだけです。
ロボットという設定なので、感情を出しすぎないとか難しい要素もあったと思いますが問題なく役をこなせていました。同じ言葉でも、場面によって感情のこめ方の差異を表現できていたと思います。
書き手は涼元悠一さん。
CLANNADのことみシナリオでもこれまでのKeyとは違った独自色を出されていましたが、今回も"らしさ"を上手く出せていたと思います。ジャンルとしては恋愛というより、人間とロボットを描いたSFでしょうね。練り込まれた世界観はさすが。その世界独自の単語に対しても、漢字で表現して雰囲気が伝わるようにしてカタカナのルビをふることで説明していたところは上手いなと思いました。SF関係だと、ストーリー進行そっちのけで冗長な説明に終始するものもみられますが、そういうものは作品に入り込めないですからね……。
ちょっと脱線しました(汗
少し否定的なことも。風景描写や伏線張りは上手なのですが、人物のやり取りに関する書き込みがもう少しあればな、と。淡々と進める場面ではいいのですが、やりとりの場面で少し物足りなさを感じてしまいました。
全体的な感想として、これで2800円(DL版なら1050円)は安いな、と(笑) 短いながらも密度の濃い作品でした。
↓以下ネタバレ。
やはり、ラストは上手く纏め上げたな、と。
神様が舞い降りたとか、ものすごい力が目覚めたとか、実はゆめみさんは町を守る戦闘用ロボットだったとか(笑)、そういうチープな終わらせ方をしないでくれてよかったです。ラストの、屑屋との約束よりもロボットとしての大原則――"ずっと昔になされていた約束"がある。このあたりはグッとくるものがありました。恋愛とは違う角度から、人を想うとはどういうことか、切り出すことができているといえるでしょう。
また、こういう終わりをすると「HappyEndも見たかった」という意見が出ますが……こういう人に限って奇跡とか起こると「チープだ」と批判するのですよね(笑) まぁ、Happyが見たいという気持ちが起こるのはそれほど魅力的なキャラクターであったり、テキストであったりするからなので、一概に否定はできませんが。
ほしのゆめみさん
No.1って言われても……キャラクターがこの人しk(GUSARI☆
2006.5.4