雪桜
ブランド/D.O.
ジャンル/ノスタルジック純愛AVG
2003年11月発売

11月。もはや季節感とは無縁の都会から、既に雪に覆われた、北海道・白兎町。

両親の海外転勤に伴い、伯父さんと従妹の家に居候することになった。電車に揺られて通う学校では、自然と従妹の友達グループに入ることになった。日々を重ねるごとに深まる結束。

そんな中生まれる、恋愛感情。友情を超えた好意は誰に向けられ、そして誰に受け止められるのか。町の中心にそびえたち、冬にだけ花を咲かせるという雪桜の下、その恋愛の結果とは――

あなたの胸中に、思い出という名の雪が降り積もる――

標準的なアドベンチャーゲームの仕様になっています。
オートモード、バックログ、既読スキップと(自分的)三種の神器もありますし、表示速度やオートモードの速度も調整可能。個人的には、メッセージウィンドウの部分に出てるアイコンがスキップとオートモード、そしてメニューと3つだけなのですよ。そのシンプルさと、アイコンのグラフィックが自分的にはよかったと思います。

それと、このゲームはプレイするのにCDを使うタイプです。

セーブ箇所はノーマルセーブ50箇所、クイックセーブが10箇所です。
自分は特にクイックセーブは使いませんでしたが、ノーマルの個数で十分でした。

絵師はしけーさん。
まず注目すべきは服のセンスじゃないかと思います。冬というシチュエーション上、重ね着をして、しかも室内の場面では上着を取るのですが、どのキャラクターも”ゲーム的な”服装ではなく、現実にありそうなものでセンスがあるな、と感心してしまいました。まぁ、こずえさんの帽子はちょっと違和感ありましたけど。

全体的な感想としても、人物のバランスがうまくとれていました。
一枚絵と立ち絵のブレもなかったですし、満足のいく出来だと思います。細かいところを指摘すれば、玲ねーさんの腕部分と住吉くんの胸部分くらいですね。こうして細かいところを指摘できるのは、他の部分の完成度が高いということの裏返しでしょう。あとは枚数(特に立ち絵)がちょっと少なめかな、といったところでしょうか。

CGの塗りは標準レベル、背景は上の下くらいでしょうか。取り立てて凄い! ということはありませんが、逆に悪いところもなく。

全部で15曲、ヴォーカル曲が2曲(short ver と long ver)です。
曲数は少なめです。もう少し多くても良かったかな、と思います。描写が学校生活中心なので、曲数を増やす必要も無いのかもしれませんが……。実際この曲数でも回ってましたしね。ただ、シナリオ長めなので、もう1〜2種類日常曲があれば、印象が変わったかもしれません。

質は並ですかね。
いくつか曲と場面が合ってないようなところがありました。曲単体としては悪くないと思うのですが……。ボーカル曲はかなり良い出来だと思います。ただ、こちらもOPとEDで兼用ですから……。

声優さんはいい仕事してると思います。
沙紀さん役、住吉くん役、あと武明伯父さん役の人は特によかったです。声優さんがこの作品の底上げをしている感もありますね。

書き手は北側寒囲さん。
シナリオは結構ボリュームがありました。共通ルートから各ヒロインのルートへ行くのですが、長さの比重が1:1くらいで、どちらも力が入っています。特に共通パートの日常の面白さは良くできています。キャラの個性を生かしてテンポよく進みます。

そして各ヒロインルートに入っていくわけですが、一番のポイントというか、ヒロインルートに入っても他のキャラクターがちゃんと持ち味を出すのです。脇役が消えたりせず、他のヒロインもまた違った一面を見せたり……と。自分はこういう展開好きですね。ただ、そのぶん主人公が少々へタレになっている印象を受けます。そこが残念といえば残念でしょうか。

また、このヘタレさのためか、5人中何人かは、クライマックスで共感できないところがありました。学校生活を中心に描いているので、それゆえのシチュエーションかもしれませんが、自分にはちょっと受け付けられなかったり。しかし他の人では良い出来だったと思います。

具体的に言えば、こずえさんシナリオと玲ねーさんシナリオ。
特に前者は秀逸な出来かと思います。

以下、ちょいとネタバレ
どのルートでもそうなんですが、主人公の幼さ、というか、そういうのが自分には共感できない原因になっているのですよ。例えばすぐに「自分の無力さに腹がたつ」というモードに入るのですが、もう少しやりようがあるんじゃないの? という感じで。そこから周りの友人たちに支えられるのですが、むしろ彼らの方が輝く場合が多いのです。ここは別に否定しません。周りの輝きは良いと思います。ただ、あまりにも主人公が傍観者になっている気がするのですよね……。
ネタバレここまで。

なんだかんだ言いましたが、学園生活に絞って完成度の高い話になっていると思います。

橘沙紀さん
うーん、甲乙つけがたし、というか。みんながみんないい感じだったのですが、僅差でツインテールさんに。メインルートだけでなく、他のルートでも存在感あります。あと、料理上手っていうのもポイント高いです。

2005.1.16